汲み取り式トイレのデメリットといえば、何といっても「臭い」の一語に尽きるということ、つまりはその臭気による不快さと言えるでしょう。
そもそも汲み取り式トイレというのは、トイレの下部に排泄物を溜め込んで、それが一定の量を超えて溢れ返ってしまう前に清掃車で汲み取ってしまう、という方式のものです。
このために、排泄物を下水に流し込んでしまう水洗式の場合とは違って、排泄物と同居していなければならない環境となっているために、常にその臭気に晒され続けることになってしまうのです。
かつては、日本の民家のほとんどがこの汲み取り式であったので、日常の生活空間からできるだけその臭気を遠ざけるために、トイレは家の一番隅のところに設ける、といった作りになっていたものでした。
何といっても、家の中に排泄物を溜め込んでいる場所があったわけですから、それが常に発する臭気というデメリットをどう避けるのか、ということが大きな問題となっていたわけです。
排泄物は即座に下水に流し込んでしまい、換気装置や冷暖房まで完備していて、臭気もなく快適であるために、そこで昼寝や読書までしたくなる、という現代のトイレとはえらい違いだったのです。